『ゲオルグさん!旅へ出るって本当ですか!?』
「ん?あぁ、そうだ。日を跨ぐ頃に出発する」
『・・・、さびしくなりますね・・・』
「・・・・・・」
「丁度いい、お前にこれを」
『?何かくれるんですか?』
「誰がくれてやると言った?」
『えっ、じゃあ・・・?』
『・・・?木彫り、の・・・カプセル??』
「元の使い方とは違うかもしれんがな」
『使い方?』
「あぁ、・・・お前、この一年でいろんなことがあったろう?」
『・・・はい』
「嬉しかった事はそのままで良い。・・・このカプセルには悲しみや辛さを込めるんだ」
『悲しみ・・・、辛さ・・・』
「そうだ、勿論全ては無理だろうが・・・。ほんの少しでもお前さんの、気持ちが軽くなればと思ってな」
『・・・ ・・・』
「このカプセルは俺が預かっておく。俺が旅から帰ってきた時、改めてお前に返そう」
「なんなら、俺が此処を発つ事が寂しいとカプセルに込めてもいい」
『!・・・もう、ゲオルグさんったら・・・』
「ふ、やっと笑ってくれたな」
『あっ・・・』
「お前には笑っていて欲しい。独りよがりだとは分かっているんだがな・・・」
『そんな事・・・ないです』
「いつと約束は出来んが・・・。必ず戻ってくる。必ずだ」
『わわっ』
「その間にも、お前に様々な事が起こるだろう。でもな、挫けるんじゃないぞ」
「お前には俺がいる。そばに居なくても、ずっと。他にもお前を支えてくれる奴は沢山いる」
「だから、辛くなったら泣いていい。苦しくなったらその気持ちを吐き出すといい」
「どんな時だってお前を嫌ったりなんかしない、だから安心して心の整理をするんだ」
「ゆっくり、一つ一つ。大事な思い出と一緒に・・・」
「・・・そろそろ発つ。体を壊さないようにな。じゃあ・・・またな」
―――次の年が貴方にとって、一つでも多くの幸せに満ちた年でありますように。
2013.12.31 桜季